時はすでに11月の終盤..
カブに乗ってたら手が冷たい冷たいと悲鳴をあげるようになってきたので、ながらく使ってなかったハクキンカイロを取り出すことにしました。
なので、今回は冬場の定番アイテム!とまで普及しているかどうか不明ですが、ハクキンカイロなるものを紹介してみることとします。
そもそもハクキンカイロって何?
ハクキンカイロはハクキンカイロ株式会社が製造販売する「プラチナ触媒型懐炉」の総称。
発祥由来については以下のとおりです。
大正末期、的場仁市がイギリスのプラチナ触媒式ライターを参考に、プラチナの触媒作用を利用して気化したベンジンをゆっくりと酸化発熱させる懐炉を独自に発明し、1923年に「ハクキンカイロ(白金懐炉)」の商品名で発売した。
引用元:wikipedia
発売されたのがなんと1923年(大正十二年)。
現在2016年なので逆算すると約100年近くも前に遡るわけですから、なかなかの歴史を持つ工業製品ということになりますね。
暖かくなる仕組みは触媒反応によるもの
一般的にカイロといえば、袋からあけてガサゴソする使い捨てタイプのを連想してしまいますが、これは鉄が空気中の酸素と反応して酸化鉄(水酸化第二鉄)になる時に生ずる発熱を利用したものです。
たいして、ハクキンカイロはベンジンによる気化ガスとプラチナ(白金)による触媒反応によって発熱する仕組みとなってます。
■暖かくなるまでの流れ■
本体脱脂綿に注入されたベンジン
↓
気化ガスが発生
↓
火口に火を当てる
↓
プラチナ触媒とガスが反応を起こし発熱する
触媒装置にはプラチナ(白金)がマット状のガラス繊維に粒子として付着させられており、本体に注入されたベンジンが気化する際、触媒のプラチナとガスが化学反応を起こし発熱する..というわけです。
詳しい仕組みについては製品HPに書かれてるので、そちらをご覧ください。
ハクキンカイロHP:
http://www.hakukin.co.jp/about.html
ちなみに余談ですが、今は触媒装置に使われている素材はガラス繊維なのですが、昔はアスベストが使われていたという話。
アスベストと聞くとなんだか不吉なイメージがあるけど、触媒装置としては劣化しにくく丈夫という利点があったということですかね?
ハクキンカイロの外観
それでは本体の方を見てみましょう。
これが主役のハクキンカイロ君。
オイルライターっぽい見た目に加え、メッキ仕立ての光沢輝くボディがいかにも「硬派な男のアイテム」といった出で立ちを醸し出してます。
フタをパカッと取り外すと触媒装置があらわれます。
触媒装置(火口)と本体(タンク)とに分離した様子。
タンク内部には脱脂綿が敷き詰められており、ベンジンを注入する時は常にこの状態にします。
ベンジン(オイル)の入れ方
ベンジンの注入には付属の「ベンジンカップ」を使います。
ぶっちゃけ安っぽい見た目(笑)なベンジンカップですが、これがないとベンジンの注入ができないのである意味本体と同じくらい重要だったりもします。
※今回は専用のカイロ用ベンジンを使用しておらず、100均で買ってきたライターオイルで代用してます。一応使えますがあくまでも代用品。基本は専用ベンジンを使うことが推奨されてます。
給油口にベンジンカップを装着し、ベンジンをトクトク注ぎます。
ライン線まで注ぎ終えたら、ベンジンカップをクルリと90度回します。
すると、みるみる脱脂綿に流れていきます。
※注入する量は基本ベンジンカップの一杯が目安。これで10~12時間燃焼が続くわけですが、燃焼時間を増やしたいからといって入れ過ぎるのはNGです。
注入が終わったら、触媒装置を元どおり装着し直し点火オン。マッチorライターで炙ることおおよそ3~5秒くらいで触媒反応が始まります。
後はフタをし、フリースケースなどで包んで持ち運びするだけ。
これで半日はアッタカヤ〜状態が保てます。
使用上の注意点
基本、ベンジンそのものを燃やすわけではないので火災の心配はありません。
しかしそうはいっても発熱するのにライター等を使うわけだから最低限の注意はやはり必要です。
以下の3点は特に守っておきたいことなので参考にしてください。
①ベンジンの注入分量を守る
ベンジンは発火する性質を持っているので、着火口まで溢れかえるまで入れては危険です。
製品サイズによって入る分量は異なりますが、注入する量はきっちり守ります。
②着火する時、触媒を逆さまにしない
触媒装置(火口)ははっきりいって「消耗品」です。
なのでずっと使えるという代物ではなく、1~2シーズンで交換することを推奨されています。
少しでも長持ちさせるためにも、触媒のダメージに繋がるような火の当てかたはしない方が無難です。
火口に直接火を当てては煤が付き、触媒を痛めてしまう恐れがあるからです。
③低温やけどに注意する
ハクキンカイロは通常の袋カイロよりも熱量が大きく、使用状況よってかなり熱を帯びることがあります。
直接地肌に当て続けてたら知らぬ間に火傷になってた..なんてことにならないようそのまま使うことはせずフリース袋などに入れて使うのが基本です。
ちなみに僕は100均で買ってきたフリースの靴下をカイロ入れとして使ってます。
靴下だと厚みも長さも丁度良いし、ポッケからテキトウに出し入れしてもカイロが地面に落っこちたりもしません。
見た目はダサいのが難点ですが、フリース靴下はけっこうオススメです。
ハクキンカイロのメリット、デメリット
「ハクキンカイロはめちゃ便利!って評判よく聞くけど本当なの?
実は不便なとこもあるんじゃないの??」
↑上記のような質問が聞こえてきたような気がしたので、メリットデメリットをまとめておきます。
メリット
・袋カイロに比べて温かい(熱量が袋カイロに比べて約13倍)
・繰り返し使える
・気化ガスを利用して発熱してるので空気を汚さないデメリット
・ベンジンの補給作業が少し面倒
・服に入れてるとベンジン臭が少し漂ってくることもある
・触媒反応が止まった時に備え、ライターを携帯しておく必要がある
結局のところ、一長一短はあるということです。
まとめ
そんなわけで、ハクキンカイロの紹介はここまで。
「バイク乗りに便利?」とタイトルに書いてしまいましたが、普通の生活範囲内であれば使い捨ての袋カイロでも十分っちゃ十分だったりもします。
袋からサッと取り出し、ガサゴソするだけで暖かくなるのだから本当手間要らず、それでいて値段もリーズナブル..ときてますからね。
ハクキンカイロはどちらかといったら通向け、アウトドア愛好家向けの保温装置なのかも?
僕にしても「見た目が格好いいから!」というのが使用理由第一位だったりします。
硬派で洗練された見た目ってのは、袋カイロにはない「持つ喜び」を与えてくれるんですね。
損得勘定抜きで使っていきたいと思える誘引力があるのだから、そういう意味じゃ、男の「粋」アイテム寄りの製品なのかもしれません。
とにかく、冬場のバイク運転は過酷。
中途半端な手袋では冬の寒さには太刀打ち出来ません。
そんななか、ひと時の安らぎを与えてくれるハクキンカイロは今後ますます役立ってくれることでしょう。
期待して使っていきたいと思います。
おわり
追伸:
なんか長々と書いてみましたが久しぶりに長文を書いたので頭がへとへとです。
文筆業の過酷さを思い知った今日この頃です。
コメント
どうもはじめまして。
一月に入ってからハクキンカイロを買ったのですが言われてるほど長時間熱が持続しません。ベンジン給油のやり方になにかコツみたいなのはあったりするのでしょうか?
コメントありがとうございます。
カイロは頻繁に出し入れしたり急激に冷やしたりすると燃料切れが早くなる傾向にあります。(経験則ですが..)
車のエンジンと同じ理屈で温まるまでにエネルギーをかなり消費してるのでしょうね。
なので出し入れを控え、フリースのケースなどに入れてじっくり使うのがよろしいかと思います。
追記:
ベンジンの種類によっても持続時間、温かまり具合は変わってきます。
また、補給の仕方にしても一気に流し込むよりはじっくり脱脂綿に染み込ませていく方が良いような気がします。
ローテクな保温器具なので自分にあったベストな使い方を模索してくのも楽しみの一つですね。